我々はCa2+シグナルによる細胞増殖制御の全体像を明らかにするため、Δzds1株が示すCa2+感受性を抑圧する変異株sczを多数取得した。scz変異は14の遺伝子座に分類され、scz14の原因遺伝子はストレス応答や老化に関与することが報告されているSIR3であることが明らかとなった。そこで本研究では、他のSCZの老化への関与の可能性を検証することにより、Ca2+シグナルが関与する老化制御機構の解明を目的とした。すべてのsczについて寿命を調べた結果、ほとんどのscz株において、野生株と比較して寿命が短くなった。さらに、Δzds1株および多くのscz変異株が、野生株と比較してテロメア長が短く、特にsah1変異株において、顕著な短縮化が観察された。以上より、SCZがテロメア長と寿命制御に関与し、Ca2+シグナルがそれらの制御において何らかの役割を担うことが予想された。さらに、カルシニューリンの欠損(scz4)のみならず過剰発現により寿命が短くなったことから、細胞内のCa2+ホメオスタシス維持と寿命との機能関連が示唆された。現在、カルシニューリンによる寿命制御機構の詳細を解析中である。
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