【目的】近年、エネルギー摂取量が増加し、それによって肥満も増加している。このまま高エネルギー食の摂取を続けるとどのような変化があるのだろうか。本研究では、継続的な高エネルギー食摂取が、子供や孫の脂質代謝にどのような影響を与えるのかを明らかにすることを目的とした。
【方法と結果】ICRマウスを高エネルギー食 (HD) で飼育し、8週齢で交配させた。産まれた子は3週間後に離乳させ、HDで飼育した。同様に孫まで繁殖させ、15週齢で屠殺し、性別、世代によって脂質代謝系がどのように変化するかを検討した。体重増加量、白色脂肪組織重量は、メスで親に比べ、子で増加傾向が見られ、孫で有意に増加した。血清トリアシルグリセール濃度、遊離脂肪酸濃度は、子や孫で上昇した。肝臓トリアシルグリセロール濃度もメスにおいては子や孫で上昇傾向が見られた。DNAマイクロアレイ分析の結果、メスの肝臓脂肪酸生合成に関わる遺伝子発現量が、世代とともに上昇した。以上により、継続的な高エネルギー食の摂取によって、子供や孫が肥満になりやすくなることが示唆された。
|