【背景】現在、最も警戒すべき感染症の一つである鳥インフルエンザ(AI)に対する注射型不活化オイルワクチンの準備が進められている。我々は、注射型AIワクチンで誘導した免疫を、高レベルに維持させるための追加免疫用ワクチンとして、AI抗原を発現する組換えジャガイモを作出した。【方法・結果】AIウイルスに対するH5N1亜型特異的な抗原としてHAタンパク質、およびH1N1等の異なる亜型を標的にする交差的抗原としてNPタンパク質を各々発現する組換えジャガイモを作出し、閉鎖系植物工場内で水耕栽培を行った。この人工環境下での栽培により、畑作より高収量かつ気象条件に左右されない計画的な栽培が可能である。収穫した組換えジャガイモに可食性アジュバントCpG ODNを添加し、注射型AIワクチン接種歴のある鶏に経口投与した結果、抗体価の上昇が認められた。さらに、精製HA、NP抗原およびCpG ODNをマウスに投与することで、亜型交差性のある感染防御に成功したことから、本ワクチンの有効性が証明された。(経済産業省委託事業「植物利用高付加価値物質製造基盤技術開発」の成果)
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