【目的】ヒト苦味受容体(hTAS2Rs)は、25種類から成り多様な毒物に対する防御システムとして非常に重要である。しかし、hTAS2Rsの特異的な役割やリガンド結合領域など不明な点が多い。これらの問題はタンパク質の構造的メカニズムを解明することで解決できると考えられる。そのためにはhTAS2Rsの大量発現が必要であり、本研究では酵母を用いて hTAS2R16の大量発現系の構築を試みた。
【方法と結果】hTAS2R16のC末端にGFP-HisタグもしくはHisタグを付加した融合体をデザインした。組み換え酵母(Saccharomyces cerevisiae及びPichia pastoris)を作製し、hTAS2R16-GFPタンパク質の蛍光強度や細胞内の局在性から最適株を選択した。精製したhTAS2R16-GFP、hTAS2R16はSDS-PAGEで単一バンドを示し、ゲル濾過クロマトグラフィーでは単分散を確認することができた。また、CDスペクトルにより変性温度を測定し、さらにリガンドに結合能があることを確認した。
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