【目的】我々は、既にニワトリ卵白リゾチームを触媒素子とした高級キチンオリゴ糖の酵素合成法を確立している。ここでは、本反応における高重合度オリゴ糖生成とその効率および物性に関して検討した。
【方法および結果】キチンオリゴ糖の最小単位であるジ-N-アセチルキトビオース:(GlcNAc)2を高基質濃度となるように硫安含有酢酸緩衝液に溶解後、ニワトリ卵白リゾチームを添加し40℃および70℃でそれぞれ反応を行った。反応を停止後、生成した沈殿を50%エタノールで充分に洗浄し、凍結乾燥した。本沈殿物をNMR・HPLC・MALDI-TOFMSにより分析した結果、重合度6〜10を含有する高重合度キチンオリゴ糖の生成を確認した。また、本反応において温度および硫安添加濃度がキチンオリゴ糖の収量と重合度に大きな影響を与えることが示された。さらに、特定のキチンオリゴ6糖のみがハイドロゲルとして特有の熱応答能を示した。
(本研究は、生研センターのイノベーション創出基礎的研究推進事業として行なわれたものである。)
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