【目的】持続可能型社会への転換に向けてバイオポリマーへの期待が高まる中、ポリ乳酸の研究・開発が盛んに行われているが、ポリ乳酸は石油由来ポリマーと比較して融点が低いことが課題である。一方、ポリL-乳酸とポリD-乳酸のステレオコンプレックスは融点が向上する事が知られており、低コストかつ高純度なD-乳酸が望まれている。
【方法および結果】我々は、出芽酵母をD-乳酸発酵宿主としたD-乳酸発酵に関する研究を行っている。出芽酵母はエタノールを旺盛に発酵する微生物であるが、ピルビン酸をD-乳酸へと変換するD-乳酸脱水素酵素(D-LDH)を導入することで、出芽酵母によるD-乳酸発酵が可能になる。
本発表では、我々が見出した高活性なD-LDHをコードする新規遺伝子を出芽酵母に複数コピー導入し、さらにエタノール発酵経路を抑制させることで、高収率なD-乳酸発酵が可能となったことを報告する。なお、本研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から一部委託を受けて実施したものである。
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