<目的と方法> 温度受容TRPチャネルは温度以外にも様々な食品成分を受容する。これまでにわさびの辛味成分allyl isothiocyanate (AITC) は胃内投与によりTRPV1を介して糖質エネルギー代謝を亢進させることが明らかとなった。AITCは糖質エネルギー代謝の亢進に伴い、血糖値にも影響を与えている可能性が考えられた。よってAITC投与による血糖値の測定および糖負荷試験をWT、TRPV1KOマウスで行い、AITCが血糖値に与える影響、及びTRPV1の関与について検討した。
<結果と考察> 糖負荷試験ではAITC投与により血糖値の上昇が抑制された。また、13Cグルコースを用いた糖負荷試験における呼気ガス測定を行ったところ、AITC投与によって投与されたグルコースの消費が促進されていることが明らかとなった。TRPV1KOマウスでは、AITC投与による血糖値上昇抑制作用も、グルコース消費の促進作用も確認できなかった。よってAITCはTRPV1を介して糖質エネルギー代謝を促進し、血糖値の上昇を抑制することが考えられた。
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