要旨
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【目的】ビタミンE(トコフェロール:Toc)は、α,β,γ,δの4つの同族体が存在しており、これまでに、核ゲノムへの形質転換技術によるα-Toc強化植物の報告がされている。Toc生合成経路の主要段階は葉緑体に局在していることから、葉緑体ゲノムへのToc生合成系酵素遺伝子導入により、α-Tocのさらなる蓄積が期待できる。そこで本研究では、Toc生合成系の律速と考えられているToc cyclase(TC)およびγ-Toc methyltransferase(γ-TMT)遺伝子をタバコおよびレタスの葉緑体ゲノムへ導入した形質転換体の作出と解析を試みた。【方法・結果】シロイヌナズナ由来TCおよびγ-TMT cDNAをpsbAプロモーター下流に連結し、タバコとレタスの葉緑体ゲノムへ導入した。TCを導入したタバコ葉では、γ-Tocは24〜36倍に、γ-TMTを過剰発現させたタバコ葉では、α-Tocがわずかに増加した。一方、TCを導入したレタスではγ-Tocは約2倍に、α-Tocは約1.4倍に増加した。現在、TCおよびγ-TMTを共発現させた形質転換体の作出を試みている。
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