バイオエタノール「固体発酵法」は、刈り取り直後のバイオマスを切断後、糖化酵素と酵母、乳酸菌を加えて圧密・密閉し、糖化とエタノール・乳酸発酵を並行で行う、省エネ型のバイオエタノール発酵法である。牛の保存飼料であるサイレージ発酵法を発展させているため、農家が取り組みやすく、残さを飼料に用いれば、廃棄物を出さずに農村地域で資源を循環利用できる。
生の未殺菌飼料イネホールクロップを用いた小規模の発酵試験では、試験20日後の原物(水分含量62%)中に約8.1vol%(乾物1tあたり213L)のエタノールが蓄積した。この発酵産物の飼料成分をサイレージと比較した結果、細胞内容物質(糖、デンプン、ペクチン等可溶性有機物)と高消化性繊維(セルロース等)が減少し、タンパク質、脂質および低消化性繊維(結晶化セルロース、リグニン)の割合が増加した。発酵前後で変動が少ないリグニンを標準に計算した結果、原物中の糖・デンプンおよびセルロースの約半分がエタノールに変換されたと推測される。
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