[背景]クルクミンは東アジアなどで古くから食品添加物や生薬として用いられてきたウコンの根茎より単離された生理活性物質である。抗ガン活性など様々な生理活性を持ち、近年大きな注目を集めている。我々はクルクミンの生合成を担うIII型ポリケタイド合成酵素 (PKS)、ジケタイド合成酵素とクルクミン合成酵素 (CURS) を発見した。CURSはジケタイドCoAとフェルロイルCoAを縮合しクルクミンを合成する。通常、III型PKSはアシルCoAとマロニルCoAを縮合する反応を触媒するため、CURSは極めて特殊なIII型PKSである。この反応のメカニズムを解明することを目指し、CURSの結晶構造解析を行った。[方法と結果] C末端にヒスチジンタグを融合したCUSを大腸菌BL21 (DE3) を用いて調製し、Niアフィニティーカラム及び陰イオン交換カラムを用いて精製した。得られた精製タンパク質を蒸気拡散法を用いて結晶化した。この結果、得られた結晶を用いて2.5 Åの分解能で構造解析に成功した。得られた構造を代表的なIII型PKSであるカルコン合成酵素 (CHS) の構造と比較したところ、CHSには存在しない特徴が見られた。
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