講演番号 4AWa09
分類 一般講演、ポスター発表
講演日時 2010/03/30 10:36
会場 AW
演題 皮膚に浸潤した癌患部が発する悪臭物質のひとつはジメチルトリスルフィドである
発表者氏名 ○白須 未香1、長井 俊治2、林 隆一2、落合 淳志2、東原 和成1,3
所属 1東大院農生科・応生化、2国立がんセンター東病院、3東大院新領域・先端生命
要旨
皮膚に浸潤し潰瘍を形成する進行癌の局所は、独特の悪臭を伴い、患者のQOLを下げる要因のひとつとなっている。本研究では、癌性悪臭の消臭手段を講じるべく、この匂い物質の同定を目指した。まず、悪臭を放つ乳癌・頭頸部癌の患部にあてられたガーゼからSPME(固相マイクロ抽出法)を用いて匂いを捕集した。次に、SPMEを匂い嗅ぎガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS-O)に供し、この悪臭の原因物質の同定を試みた。GC-MS-O分析の結果、乳癌・頭頸部癌ともに同じ保持時間に、癌患部の悪臭を体現する硫黄様の強い悪臭を感じた。MS分析の結果、この物質はジメチルトリスルフィド(DMTS)であることが明らかになった。DMTSは、いわゆる“たくあん臭”“強いたまねぎ臭”とも表現でき、キャベツなどの野菜の過熱臭、微生物の代謝産物として知られる。今後、この匂いの発生源を特定することによって、癌患部からのDMTSの発生を制御することができると期待される。
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