【目的】新たな医薬品の開発や新機能物質の開発が進むなか、タンパク質の立体構造情報の重要性が益々高まっており、X線結晶解析によるタンパク質立体構造決定の国際的競争が始まっている。近年、シンクロトロン放射光の利用や大型計算機の発達によってX線構造解析は加速したが、X線構造解析に必須な、タンパク質の結晶化条件の検索、結晶の凍結(放射線損傷を回避させるため必須)、結晶のマウント操作においては、技術的進展が見られず、未だ試行錯誤による不確実な方法で行われている。これらの技術課題を解決する目的で、ハイドロゲルを用いた固相中タンパク質結晶化技術を開発した。
【方法】2.0%(w/v)のアガロースゲル中で6種類のタンパク質を結晶化し、X線回折強度データ収集ならびにX線構造解析を行った。
【結果】様々なタンパク質を固相アガロースゲル中で結晶化できることが明らかとなった。さらに、溶液中の結晶化に比べ高確率で結晶が得られること、固相中育成結晶が極低温凍結や放射線による損傷を軽減させること、それにより高品質回折データが得られること、さらに、自動で結晶のマウント操作が可能であることが判明したので報告する。
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