要旨
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【目的】卵黄の構造は、観察的には黄色卵黄中で同心円状の層を形成する濃黄色卵黄と淡色卵黄、および白色卵黄の存在する卵黄中心部のラテブラと胚盤などに分類されている。本研究では鶉卵をモデル卵とし、イメージングマススペクトロメトリー(IMS)により卵黄中の脂質を可視化し、卵黄の構造を調べた。
【方法】鶉卵を凍結した後、クライオスタットで卵黄の切片を作成し、スライドグラス上に接着させた。次に、2,5-Dihydroxybenzonic acid溶液(20mM K)を塗布後、MALDI LTQ-XL (ThermoFisher Scientific)を用いてIMS解析を行った。
【結果】IMS解析によって卵黄中の脂質を可視化することにより、黄色卵黄中に新規の層状構造があることを見出した。これら新規の層状構造は、ホスファチジルコリン(PC)(diacyl 16:0/18:2)、PC(diacyl 18:1/18:3)、およびPC(diacyl 18:2/20:4)などを特徴的に含むことで分類され、濃黄色卵黄や淡色卵黄という既知の構造とは異なる層状構造を形成していた。本研究で見出した新規の層状構造は、それぞれが特徴的な脂質で構成されていることから、胚発生において必要な脂質の供給を調節する役割を担っていると推測される。
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