【目的】我々はトマトに含まれる機能性成分の研究から、トマト種子に局在するトリテルペノイド(トマトシドA)を見出した。本研究では、血中コレステロール濃度に及ぼすトマトシドA摂取の影響について調べた。
【方法】トマトの果皮/種子混合物を含水エタノールで抽出後、逆相系カラムを用いて純度60%のトマトシドA粗画分と、純度92%のトマトシドA精製物を得た。これらのコレステロール吸着能をin vitroの系で測定し、トマトシドA粗画分については高コレステロール食に添加した飼料でマウスを21日間飼育して、血清総コレステロールを測定した。また、終了3日前の糞中コレステロールも測定した。
【結果】トマトシドA粗画分、精製物ともに比較的強いコレステロール吸着能を示した。混餌試験において、トマトシドA粗画分ではコレステロール負荷による血清総コレステロールの上昇が対照より有意に抑制され、この作用はコレステロール上昇抑制作用が知られる大豆サポニンよりも強かった。トマトシドA粗画分では、糞中コレステロール排泄率が対照より有意に高かった。これらの結果はトマトシドAがコレステロールの吸収を抑制したことに起因したものと推察した。
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