【目的】Streptococcus mutans はスクロースを基質として粘着質で不溶性のα-グルカンを合成し強固なバイオフィルムを形成する。このスクロース依存性バイオフィルムに対し、低濃度で顕著な阻害作用を持つアロマデンドレン類縁化合物がスクリーニングにより単離された。本化合物の作用機構の解明を目指した。
【方法】まずスクロースの代わりに他の糖を添加した培地におけるバイオフィルム形成阻害を比較した。また大腸菌などのグラム陰性菌や他の Streptococcus 属などのグラム陽性菌に対する本化合物の影響を検討した。さらに S.mutans UA159株に本化合物を作用させた際の遺伝子発現変化を検討した。
【結果】各糖の添加におけるバイオフィルム形成阻害を比較した結果、スクロースにおいて顕著な阻害が認められた。また本化合物はグラム陰性菌には影響を及ぼさなかったが、グラム陽性菌にはバイオフィルム形態の変化や増殖速度の抑制を確認した。さらにスクロース依存性バイオフィルム形成に関与する遺伝子群の発現変化を測定している。本研究は生研センター異分野融合研究事業による。
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