【緒言】ラクトビオン酸(LacA)は伝統的製法により調製した「カスピ海ヨーグルト」中に含まれる酸性オリゴ糖である。我々はLacAのカルシウム(Ca)吸収促進作用や、更年期障害の緩和作用が報告されているエコールの産生促進作用を動物実験で見出し報告してきた。今回、LacAのCa吸収促進作用をヒト試験にて確認したのでその結果を報告する。【方法】乳糖をGluconobactor属酢酸菌で酸化することによりLacAを約50%含有する乳糖発酵物を調製した。ヒト試験はヘルシンキ宣言の精神に則り、被験者(健常男性9名40.7±9.6歳)が貝殻カルシウム(Ca300mg相当)に加えて乳糖発酵物(LacA105mg、150mg相当)を配合した試験食とプラセボ食を摂取するクロスオーバー盲検方式で実施した。被験食を摂取後8時間まで2時間毎に採尿・計量し尿中のCa濃度とクレアチニン濃度を測定した(毎時200mLの水を摂取)。【結果】LacA150mg群の2-4、4-6時間後のCa/クレアチニンの比は、プラセボ群に比して有意に高い値を示した。尿中総Ca排出量はLacAの用量依存的に上昇傾向が認められ、特にLacA150mg群の尿中総Ca排出量はプラセボ群に比して有意に高い値を示し、LacAのCa吸収促進作用が示唆された。
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