【目的】プロテイングルタミナーゼはタンパク質のグルタミンをグルタミン酸に変換し、食品タンパク質の加工特性の向上に利用されている。本酵素は114残基のプロ領域と185残基の成熟体領域からなる単量体酵素であり、そのアミノ酸配列は他の酵素との相同性が見られず、立体構造および触媒メカニズムは不明であった。今回我々はプロ体PGの変異体A47Qを作製し、PGの酵素反応中間体のX線結晶構造解析を行った。
【方法】変異体プロPGは部位特異的変異導入法を用いて作製し、野生型PGをモデルとした分子置換法によって構造を決定し、1.5Å分解能で構造の精密化を行った。
【結果】プロ体のプロ領域の一部は成熟型PGの活性部位を覆い、Ala47は活性ポケットの入り口に位置していた。そこで、変異体A47Qの構造解析を行った結果、pH8.7ではPGの触媒残基であるCys156とアシル中間体を形成し、pH6.7ではアシル化されていない中間体を形成することが明らかとなった。以上の結果から、PGのアシル中間体の形成について考察した。
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