【目的】従来、乳化油脂の粒子径は大きい方がおいしいと言われるが、これまで食品においては、安定性の問題から、粒子径の小さな乳化油脂が使用されてきた。しかし、三相乳化技術を応用することにより、粒子径の大きな乳化油脂についても安定性を維持することが可能となった。そこで、乳化油脂の粒子径の違いが食品のおいしさにどのような影響を及ぼすかについて検証した。
【方法・結果】従来の乳化法と三相乳化法により、粒子径の異なる乳化油脂を調製した。それらの乳化油脂を用いた食品について、官能評価を行った結果、脂肪含有量が同等であっても、粒子径が大きい方が、油脂感が強く、コクがあると感じられる傾向にあった。この結果から、乳化油脂の粒子径が、油脂を含む食品のおいしさに大きく関わっていることが示唆された。また、食品への油脂感・コク感の増強、さらには油脂感・コク感を維持した上での低カロリー化など、食品へのさまざまな応用が期待できる結果であった。
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